水素専焼エンジンコンプレッサーの実証開始
株式会社豊田自動織機(以下、豊田自動織機)は、自社開発した水素エンジンを株式会社AIRMAN(以下、AIRMAN)の水素専焼注1エンジンコンプレッサーに搭載し、実証試験を共同で開始した(図1)。コンプレッサーは建設現場などで使用するもので、実証では性能や耐久性の評価などを実施する。2025年10月21日に発表した。
図1 豊田自動織機の水素エンジンを搭載したコンプレッサー「SHS265LC」(AIRMAN製)
出所 株式会社AIRMAN ニュースリリース 2025年10月21日、「株式会社 豊田自動織機製の水素専焼エンジンを搭載したコンプレッサと発電機を開発」
発電機やフォークリフトの用途も視野に2030年頃発売
豊田自動織機は、2021年から水素エンジンの開発に着手し、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)の知見を活用しながら、共同で出力向上などの改良に取り組んできた。今回、実機検証が可能となる性能の目処付けが完了した。実証で使用する水素エンジンは、自社のガスエンジンをベースに開発した(図2)。
図2 豊田自動織機製水素エンジンのイメージ
出所 株式会社豊田自動織機 ニュースリリース 2025年10月21日、「豊田自動織機、自社開発水素エンジンの実証試験を開始」
実証では、豊田自動織機の水素エンジンを搭載したコンプレッサー「SHS265LC」(AIRMAN製)をAIRMANの水素技術試験場に設置して実施し、実用化に向けた課題の洗い出しや技術確立を進める(図3)。
図3 水素専焼エンジンコンプレッサー内部。中央が豊田自動織機製水素エンジン。(産総研提供)
出所 株式会社豊田自動織機 ニュースリリース 2025年10月21日、「豊田自動織機、自社開発水素エンジンの実証試験を開始」
今後、豊田自動織機は、水素エンジンの2030年頃の市場投入を計画しており、用途として発電機やフォークリフトなどの産業機械への適用も視野に入れている。
豊田自動織機によると、水素エンジンは水素を燃料とし、水素と酸素を燃焼させた際に生じる水蒸気などの圧力上昇を利用して、動力を生み出す。ほとんど二酸化炭素を出さないため、内燃機関の脱炭素化手段の1つとして国内外で開発が進んでいる。小型かつ高出力化が可能で、燃焼機構を水素に対応させるなどの小規模な改良で開発できる。大きなエネルギーが必要で電動化が難しい産業機器などの動力源として期待されている。
注1:水素専焼:水素のみを燃料として燃焼させること。
参考サイト
株式会社豊田自動織機 ニュースリリース 2025年10月21日、「豊田自動織機、自社開発水素エンジンの実証試験を開始」
株式会社AIRMAN ニュースリリース 2025年10月21日、「株式会社 豊田自動織機製の水素専焼エンジンを搭載したコンプレッサと発電機を開発」













