防水加工された紙やノーカーボン紙などからバイオエタノールを製造
ENEOS株式会社(以下、ENEOS)とTOPPANホールディングス株式会社(以下、TOPPANホールディングス)は、リサイクルが難しい防水加工された紙やノーカーボン紙などの古紙からバイオエタノールを生産する技術の開発を進めている。そのパイロットプラントの建設を、日本製紙株式会社(以下、日本製紙)の富士工場内で開始した(図1)。2027年前半に稼働を開始する計画である。両社が2025年7月24日に発表した。
図1 ENEOSとTOPPANホールディングスが建設を進めるパイロットプラントのイメージ図
出所 ENEOS株式会社 ニュース 2025年7月24日、「ENEOSとTOPPANホールディングスが進める古紙バイオエタノール実証事業を日本製紙富士工場で実施」
2030年度以降に商用化へ
ENEOSとTOPPANホールディングスは、2021年から難再生古紙などを原料とした国産バイオエタノール事業の立ち上げに向けた検討を続けている。2024年3月には事業化に向けた実証事業を開始し、2030年度以降に商用化する計画である。
パイロットプラントでは、TOPPANホールディングスが開発した、難再生古紙から繊維分を豊富に残したまま不要な部分を取り除いて原料にする前処理プロセスと、ENEOSが開発している製造工程で原料をつぎ足しながらエタノールを連続的に製造する「連続生産技術」を組み合わせ、日本製紙が糖化発酵プロセスの運転を担当してバイオエタノールの量産化に取り組む。古紙の投入量を1日あたり約1~3トンとし、1日あたり約300リットルのバイオエタノールを生産する予定である。
同実証事業は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「バイオものづくり革命推進事業」に採択されている。
両者によれば、バイオエタノールは、自動車燃料や化学品原料としての利用が期待される。また、近年では持続可能な航空燃料(SAF)の原料としても注目されている。