[ニュース]

蓄電池で出力抑制を解消、パワーエックス

発電と充放電を一体運用する「電力アグリゲーションサービス」開始
2025/08/21
(木)

発電と充放電を一体的に運用するサービス

 株式会社パワーエックス(以下、パワーエックス)は、蓄電池を併設した太陽光発電所を対象に、発電と蓄電システムの充放電を一体的に運用する「電力アグリゲーションサービス」を開始する(図1)。電力需要の少ない時間帯に太陽光などの発電量が需要を上回り、需給バランスを保つために発電を一時的に停止させる「出力抑制」に対応するという。2025年8月21日に発表した。

図1 パワーエックスの「電力アグリゲーションサービス」の初導入先となる鹿児島県大崎発電所

出所 
株式会社パワーエックス プレスリリース 2025年8月21日、「蓄電池併設型太陽光発電所向け電力アグリゲーションサービスを開始」
 

出力抑制対策とFIP移行による収益性向上

 近年、国内では再生可能エネルギーの導入が進む一方で、九州を中心とする西日本エリアで出力抑制が増加している。電力アグリゲーションサービスは、既設の太陽光発電所に蓄電システムを併設することで出力抑制に対応する。日中の余剰電力を蓄電池に充電し、電力需要が高まる夕方や夜間の時間帯に放電するタイムシフトにより、出力抑制を回避する。

 さらに、電力の買取制度を固定価格のFIT制度から、市場価格に連動したプレミアムが上乗せされるFIP制度へ移行する。これにより、電力市場の価格が高い時間帯を狙って売電するなど、より戦略的な運用が可能になるという。

 同サービスの初号案件として、株式会社センコーコーポレーション(以下、センコーコーポレーション)と、同社が鹿児島県曽於郡大崎町に保有する鹿児島県大崎発電所での電力運用受託契約を締結した。

 鹿児島県大崎発電所には、2025年中にパワーエックス製の定置用蓄電システム「Mega Power 2700A」を1台設置する。この蓄電池は公称容量2742kWh、定格容量2468kWhで、PCS出力は1500kW。設置工事はユニバーサルエコロジー株式会社が担当する。現行のFIT制度からFIP制度へ移行した上で、2026年2月を目処に運用を開始する計画である。なお、蓄電システムの導入は、資源エネルギー庁の「令和6年度予算 再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業」に採択されている。

 パワーエックスは、これまで自社で開発・製造する蓄電システムの販売・設置を手がけてきたが、今回のサービス開始により、導入後の電力アグリゲーションや保守までを含めたトータルソリューションの提供が可能になる。


参考サイト

株式会社パワーエックス プレスリリース 2025年8月21日、「蓄電池併設型太陽光発電所向け電力アグリゲーションサービスを開始」

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...