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再エネ発電所の候補地を自動選定、シーラソーラーがシステム稼働

候補地選定のリードタイムを約10分の1に短縮
2025/08/28
(木)

再エネ発電所の候補地を自動選定

 太陽光発電所の販売などを手掛ける株式会社シーラソーラー(以下、シーラソーラー)は、再生可能エネルギー発電所の候補地を自動でリストアップするための「発電所適地判定システム」の稼働を開始した。同システムは、東京大学発のAIスタートアップであるDataPrism Technologies株式会社(以下、DataPrism Technologies)と共同開発した。候補地の抽出から地主や自治体との交渉開始に至るまでのリードタイムを、従来手法と比べて約10分の1に短縮したという。シーラソーラーの親会社であるシーラホールディングスが2025年8月27日に発表した。

図1 シーラソーラーが稼働する「発電所適地判定システム」は、再生可能エネルギー発電所の候補地を抽出し、地図上にリストアップする

出所 株式会社シーラホールディングス ニュースリリース 2025年8月27日、「シーラソーラー、東京大学発AIスタートアップと共同開発した「農地ビッグデータ活用 発電所適地判定システム」を本格導入」

候補地の選定時間削減に加え絶対数が増加

 発電所適地判定システムは、農地情報、航空写真、ハザードマップ、系統空き容量といったデータを情報基盤に集約する。それらの情報から、独自のフィルタリングロジックに基づき、条件を満たす農地を自動で抽出する。抽出した候補地は、地図上に表示し、面積や地目、災害リスクといった情報を確認できる。

 これにより、候補地選定の時間を削減するのに加え、網羅的なスクリーニングによって候補地の絶対数が増加したという。他社に先駆けて優良な農地を確保する体制を構築し、発電所の開発ペースの向上につなげたい考えだ。

 今後、シーラソーラーとDataPrism Technologiesは、発電所適地判定システムに日射量や気象実測値、土地の傾斜角度、利用区分といったデータも段階的に取り込み、判定ロジックを強化していく。将来的には、衛星画像を活用した土地利用の詳細な解析や、より精緻な発電量シミュレーションといった機能を実装する計画だ。

 シーラホールディングスによれば、再生可能エネルギー発電所を建設する上で、適した土地の確保が課題になっている。特に農地や遊休地を活用する場合、「農業振興地域の整備に関する法律(農振法)」で定められた区分や地目、各種ハザードマップ、航空写真、送電網の空き容量といった条件を詳細に調査する必要がある。

 従来、これらの調査は担当者が各種データを個別に収集・確認し、膨大な候補地を一件ずつ手作業で評価するのが一般的であった。このため、用地選定プロセスには時間と労力がかかり、事業の意思決定を遅らせる要因になっていた。


参考サイト

株式会社シーラホールディングス ニュースリリース 2025年8月27日、「「農地ビッグデータ活用 発電所適地判定システム」を導入」

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