バイオエタノール製造でエタノール純度の国内燃料規格をクリア
三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)は、開発中のバイオエタノール膜分離脱水システム「MMDS(Mitsubishi Membrane Dehydration System)」のパイロットプラントで、エタノール純度が国内の燃料規格である99.5vol%以上になったという(図1)。同システムは、バイオエタノールの製造工程における消費エネルギーを削減し、クリーン燃料の製造コスト低減と安定供給につなげるという。2025年9月12日に発表した。
図1 三菱重工が開発している膜分離脱水システム「MMDS(Mitsubishi Membrane Dehydration System)のパイロットプラント外観
出所 三菱重工業株式会社 ニュースリリース 2025年9月12日、「バイオエタノール膜分離脱水システム開発のパイロットプラントで所期性能達成」
分子ふるい膜で消費エネルギーを3割超削減
バイオエタノールは、ガソリンの代替燃料や次世代航空機燃料であるSAF(Sustainable Aviation Fuel)の原料として注目されている。しかし、燃料として利用するには製造の最終工程で水分を除去する「脱水」が必要であり、この工程で多くのエネルギーを消費することが長年の課題だった。
三菱重工のMMDSは、脱水工程において、従来のPSA方式に代わり、独自の「分子ふるい膜分離方式」を採用する。同方式は、膜で物質を分離することにより、脱水工程の消費エネルギーを30%以上削減する。これにより、オペレーションコストの低減と生産の安定化につなげるという。さらに、気体ではなく液体(液相)の状態で分離を行うため、プラント全体の装置をコンパクト化できるとする。
今回の成果は、三菱重工総合研究所長崎地区の「長崎カーボンニュートラルパーク」内に設置されたパイロットプラントでの試験によって得られたものである。三菱重工は、この試験結果を踏まえ、今後は実証プラントを建設し、商用化に向けて開発を進める。
参考サイト
三菱重工業株式会社 ニュースリリース 2025年9月12日、「バイオエタノール膜分離脱水システム開発のパイロットプラントで所期性能達成」