CO₂バッテリー商用プラントの国内展開に向けエナジードームと協業検討
日揮株式会社(以下、日揮)は、CO₂を活用して発電するための設備「二酸化炭素(CO₂)バッテリー商用プラント」の国内への展開に向け、CO₂バッテリー技術を保有するイタリアのENERGY DOME S.p.A(以下、エナジードーム)と協業検討を開始する(図1)。そのため、2025年10月1日に覚書(MOU)を締結した。2025年10月23日に発表した。
図1 エナジードームがイタリア・サルデーニャ島に建設したCO₂バッテリー商用プラント
出所 日揮株式会社 プレスリリース 2025年10月23日、「CO₂バッテリー技術を有するエナジードーム社と日本市場における協業検討を目的としたMOUを締結」
CO₂を圧縮・液化して貯蔵し電力需要が高まる時間帯に発電
CO₂バッテリー技術は、長期のエネルギー貯蔵システム(LDES:Long Duration Energy Storage)技術の1つ。コンプレッサーを用いてCO₂を圧縮・液化してドーム状の貯蔵容器に貯蔵し、貯蔵したCO₂は夜間など電力需要が高まる時間帯に再加熱・膨張させてタービンを回し発電する(図2)。エネルギーを長時間貯蔵できるのに加え、リチウムイオン電池など既存の蓄エネルギー技術と比較して低コストである。また、希少金属を使用しないために主要機器や部材を既存のサプライチェーンから調達できるほか、経年劣化も起こさないという特徴がある。
図2 CO₂バッテリーの仕組み
出所 日揮株式会社 プレスリリース 2025年10月23日、「CO₂バッテリー技術を有するエナジードーム社と日本市場における協業検討を目的としたMOUを締結」
エナジードームは、イタリア・ミラノを拠点とする企業で、CO₂バッテリー技術を開発・提供している。世界初のCO₂バッテリー商用プラント(出力20MW、蓄電容量200MWh)の運転をイタリア・サルデーニャ島で開始しており、各国におけるCO₂バッテリー技術の導入を進めている。
日揮は、CO₂バッテリー技術を他のLDES技術の中でも競争優位性があると考えており、また、エナジードームのCO₂バッテリー技術が他国での導入実績が有り、安全性や安定性などの評価を得ていることから、今回、MOUを締結した。
今後、両社は、MOUに基づき、エナジードームのCO₂バッテリー技術と、日揮が持つEPC遂行能力を活用した、国内のCO₂バッテリー商用プラントの導入可能性について事業者も交えて検討する。
日揮によると、太陽光発電や洋上風力などの再生可能エネルギー発電の普及拡大に伴い、出力変動の緩和が課題となっている。その中で、LDES技術は、出力変動の調整力・安定化技術の1つとして注目されている2025年度には、脱炭素電源への新規投資促進施策「長期脱炭素電源オークション」の対象技術としてLDES技術が採択されるなど、普及拡大が期待されている。
参考サイト
日揮株式会社 プレスリリース 2025年10月23日、「CO₂バッテリー技術を有するエナジードーム社と日本市場における協業検討を目的としたMOUを締結」













