東南アジアでNbSに取り組む日本企業を支援
英コンサルティング大手EYの日本法人であるEY Japanは、社会課題を自然や生態系の機能を活用して解決するためのアプローチ「自然に基づく解決策(Nature-based Solution:NbS)」のアドバイザリーサービスを開始する。サービスの対象は、東南アジアで取り組む日本企業である。同サービスでは、NbSプロジェクトの市場調査から実施・運営までを包括的に支援し、自然保護と経済的なリターンの両立につなげる。2025年6月4日に発表した。
事業地選定、エコシステム構築、リスクアセスメントまで包括的に支援
NbSは、気候変動などの社会課題に対し、自然や生態系の機能を活用して解決を図るアプローチ。その結果として、自然の保護や再生・回復にもつなげる。例えば、森林再生やマングローブ保全、持続可能な農業などのプロジェクトを通じてCO2排出を削減し、カーボンクレジットを創出・販売すれば、生態系の管理と経済的価値の創出を両立できるという。
アドバイザリーサービスでは、対象国/事業候補地の選定、進出先の政策・法規制の動向調査、プロジェクトにおける温室効果ガス(GHG)排出削減量・吸収量の算定を実施する。自然災害リスクに加えて事業固有の技術面/運営面の不確実性を踏まえたリスクアセスメントも実施し、収益性と実現可能性の両面から評価する。さらに、ステークホルダーとのエコシステムの構築も支援する。
対象とする分野は、主に森林と海洋・沿岸、農業の3つ。
EY Japanの気候変動・サステナビリティ・サービスチーム(CCaSS)が担当する。
EY CCaSS ネイチャーサービス APAC地域リーダーでありパートナーの茂呂 正樹 氏は、「気候変動対策が進む中、自然資本の持つ力によって解決を見いだそうとするNbSに注目が集まっている。気候変動対策は場合によっては生物多様性にとってネガティブなインパクトを持つトレードオフの関係になることもあるため、自然資本の再生・回復にもつながるコ・ベネフィットの関係にあるNbSを用いた対策が広がることを期待している。さらに、NbSに関連したクレジットが創出され、市場が活性化することでネイチャーポジティブに向けた資金流入が拡大することにも期待したい」と強調する。