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国内最大級となる年3.5億kWhのバーチャルPPAを締結、JR東日本

FIP転のバイオマス発電活用
2025/10/30
(木)

単独需要家として全国最大規模の環境価値調達

 東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)は、再生可能エネルギー発電所の環境価値のみを取得する契約「バーチャルPPA」をDaigasエナジー株式会社(以下、Daigasエナジー)と、2025年10月28日に締結した(図1)。調達する環境価値の調達量は年間約3.5億kWhで、単独の需要家としては全国最大規模だという。同日に発表した。

図1 JR東日本のバーチャルPPAのスキーム

出所 東日本旅客鉄道株式会社 大阪ガス株式会社 ニュースリリース 2025年10月28日、「単独需要家で全国最大規模のバーチャルPPA契約を締結」

 

FITからFIPへ移行するバイオマス発電所を活用

 JR東日本によるバーチャルPPAのスキームでは、JR東日本は、株式会社エネウィルと大阪ガス株式会社、SMFLみらいパートナーズ株式会社が出資する和歌山御坊バイオマス発電所(和歌山県御坊市)の発電量に応じた環境価値を、大阪ガスが非FIT非化石証書注1としてJR東日本に提供する

 和歌山御坊バイオマス発電所は、現在はFIT制度に基づき、発電した電力を一般送配電会社に販売しているが、2026年4月からFIP注2制度に基づく事業運営へ移行し、同時にJR東日本向けの環境価値供給を開始する予定である(図2)。パーム椰子殻と木質ペレットを燃料に、年間年間約3.5億kWhを発電する。

図2 株式会社エネウィルと大阪ガス株式会社、SMFLみらいパートナーズ株式会社が運営する和歌山御坊バイオマス発電所

出所 東日本旅客鉄道株式会社 大阪ガス株式会社 ニュースリリース 2025年10月28日、「単独需要家で全国最大規模のバーチャルPPA契約を締結」

 JR東日本が調達する環境価値は年間約3.5億kWhで、年間約15万tのCO₂削減に相当する。この削減量は、JR東日本グループ全体のCO₂排出量の約8%にあたるという。


注1:非FIT非化石証書:FIT制度(固定価格買取制度)の対象ではない再生可能エネルギー電源(非FIT電源)から発電された電気が持つ環境価値を証書化したもの。
注2:FIP制度(Feed-in Premium):再生可能エネルギー発電事業者が卸電力市場などで電力を販売する際に、その販売価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せする制度。

参考サイト

東日本旅客鉄道株式会社 大阪ガス株式会社 ニュースリリース 2025年10月28日、「単独需要家で全国最大規模のバーチャルPPA契約を締結」

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