フィルム型カルコパイライト太陽電池をスレート屋根などに設置
東京ガス株式会社(以下、東京ガス)と次世代太陽電池を開発するPXP株式会社(以下、PXP)は、フィルム型カルコパイライト太陽電池をスレート屋根などの耐荷重の低い屋根に設置するためのパネル構造と施工法を共同開発する(図1)。国内初の試みだという。「令和7年度神奈川県カーボンニュートラル研究開発プロジェクト推進事業」の採択受けて開発を進め、2026年度中のサービス化を計画している。2025年7月16日に発表した。
図1 東京ガスとPXPが開発するフィルム型カルコパイライト太陽電池
出所 東京ガス株式会社 プレスリリース 2025年7月16日、「フィルム型次世代太陽電池の実用化に向けた共同開発が神奈川県の推進事業に採択」
カルコパイライト太陽電池のパネル構造と施工法の確立に向け実証
カルコパイライト太陽電池は、銅、インジウム、ガリウム、セレンなどを主成分とする化合物半導体を用いた薄膜太陽電池。現在主流となっているシリコンを原料とする太陽電池と比べ、軽量で柔軟性に優れる特徴を持ち、次世代太陽電池の1つと見られている。
PXPが開発するカルコパイライト太陽電池は、重量が1kg/m2以下と軽量でありながら、高い発電効率と耐久性があるという。
東京ガスは、太陽光PPA(電力購入契約)サービス「ヒナタオソーラー」を提供しており、材料評価試験や耐風試験に基づく独自開発の施工法などのノウハウがある。2024年には、薄型軽量パネルを接着剤でスレート屋根に固定する工法も開発している(図2)。
図2 フィルム型カルコパイライト太陽電池をスレート屋根に設置する予備試験の様子
出所 東京ガス株式会社 プレスリリース 2025年7月16日、「フィルム型次世代太陽電池の実用化に向けた共同開発が神奈川県の推進事業に採択」
今後、両社は神奈川県カーボンニュートラル研究開発プロジェクト推進事業の中で、カルコパイライト太陽電池のパネル構造と施工法の確立、設置の実証を実施し、耐久性と安全性を検証する。
東京ガスによれば、第7次エネルギー基本計画では、2040年の電源構成で太陽光発電が22~29%を占めると見通す。その導入ペースは適地の不足などを背景に鈍化傾向にある。特に、工場や倉庫などで多く見られるスレート屋根は、耐荷重の低さから太陽光パネルの設置を断念するケースが多い。しかし、2050年には、耐荷重の低い屋根への設置可能容量は約169GWに達し、現在の国内の太陽光発電導入量の2倍以上になる。
参考サイト
東京ガス株式会社 プレスリリース 2025年7月16日、「フィルム型次世代太陽電池の実用化に向けた共同開発が神奈川県の推進事業に採択」