衛星データを活用して貨物保険加入者のメタン排出を検知
損害保険ジャパン株式会社(以下、損保ジャパン)、SOMPOリスクマネジメント株式会社(以下、SOMPOリスク)、日揮グローバル株式会社(以下、日揮グローバル)、イスラエルの衛星画像ソフトウェアを提供するMomentick Ltd.(以下、Momentick)の4社は、損保ジャパンの貨物保険加入者向けに、衛星データを活用してメタンの排出を検知するサービスの提供を開始した(図1)。損害保険と連携したメタン排出検知サービスの提供は日本初だという。損保ジャパンとSOMPOリスクのエネルギ―サプライチェーン構築を支援するサービス「SOMPO-ZELO」シリーズの第3弾として提供する。2025年8月22日に発表した。
図1 損害保険ジャパン、SOMPOリスクマネジメント、日揮グローバル、Momentickによるメタン排出検知サービスの概要
出所 損害保険ジャパン株式会社 ニュースリリース 2025年8月22日、「【日本初】損害保険と連携したメタン排出検知ソリューションの提供開始」
スクリーニングから実測、排出削減のコンサルティングまでを支援
同サービスは、SOMPOリスクがMomentickの技術を活用して衛星画像を解析し、特定の資産周辺におけるメタン排出の量と場所を特定する(図2)。その解析結果と評価をリスクレポートにまとめる。レポートを、損保ジャパンが貨物保険加入者に対して無償で提供する。加入者は自社のメタン排出リスクを把握し、具体的な対策を検討できるという。
さらに詳細な調査を希望する加入者には、日揮グローバルの地上センサーやドローンを活用したGHG(温室効果ガス)の実測サービスやメタン排出のMRV(Measurement、 Reporting、 Verification:測定、報告、検証)に関するコンサルティング、Momentickの解析ソフトウェアを有償で提供する。これらにより、簡易的なスクリーニングから詳細な実測、排出削減のコンサルティングまでを支援する。
今後は、2025年6月に打ち上げられた温室効果ガス観測技術衛星「GOSAT-GW」の観測データを活用することも予定している。SOMPOリスクは、国立環境研究所との意見交換を通じて得た知見をもとに排出量の推定手法を設計し、より精度の高いリスクレポートを作成する計画だ。GOSAT-GWの活用にあたっては、環境省と国立環境研究所から技術的な監修や助言を得る。
損保ジャパンによれば、メタンは二酸化炭素の28〜84倍程度の温室効果を持つとされ、その排出削減は気候変動対策における重要な課題となっている。2021年には、2030年までに世界のメタン排出量を2020年比で30%削減する国際的な目標「Global Methane Pledge」が開始した。また、液化天然ガス(LNG)のサプライチェーンにおいても、メタンを含むGHG排出削減への取り組みが国際的に確認されており、関連企業には新たなリスク対応が求められている。
参考サイト
損害保険ジャパン株式会社 ニュースリリース 2025年8月22日、「【日本初】損害保険と連携したメタン排出検知ソリューションの提供開始」