アンモニア原料を使用済みプラスチック由来の水素に完全転換
株式会社レゾナック(以下、レゾナック)は、川崎事業所(神奈川県川崎市)で製造するアンモニアの原料を、使用済みプラスチック由来の水素に完全に切り替える。現在、原料として併用している都市ガス由来の水素の利用を停止する。2025年10月6日に発表した。
図1 川崎プラスチックリサイクル(KPR)のプラント
出所 株式会社レゾナック プレスリリース 2025年10月6日、「プラスチックのケミカルリサイクルによる低炭素アンモニア事業拡大を決定」
2030年4月からの設備稼働を計画
レゾナックは、使用済みプラスチックなどを高温でガス化して分子レベルまで分解し、水素と炭酸ガスを取り出す「川崎プラスチックケミカルリサイクル事業(KPR)注1」を2003年から手がけている。
神奈川県川崎市にあるレゾナックの川崎事業所では、(1)KPRで得られる水素と、(2)都市ガスを改質して得られる水素の2種類を原料に、アンモニアを製造・販売している。
今回の決定により、都市ガス由来水素の使用を停止し、使用済みプラスチック由来水素のみの使用に転換する。既存のKPRを基盤に新たなプロセスを導入し、2030年4月からの設備稼働を計画する。
これにより、アンモニア製造における二酸化炭素排出量を削減するという。また、副生品である炭酸ガスをドライアイスや炭酸飲料の原料として活用し、製品の低炭素化や資源循環につなげ、環境価値を高めるという。
今回の取り組みは、経済産業省の「価格差に着目した支援」注2の対象として2025年9月30日付で認定された。アンモニアの需要家である日本触媒と共同で申請していた。
事業の核となるKPRは、2003年から稼働し、長期の商業運転を続ける世界で唯一のガス化ケミカルプラントだという。2023年には、KPR由来の水素やアンモニアなど3製品で、持続可能性に関する国際認証「ISCC PLUS認証」注3を取得しており、今後も認証を維持し、サステナブルな製品の供給を続ける方針だ。
注1:ケミカルリサイクル:廃プラスチックなどを化学的に分解し、原料やモノマーに戻して再利用する技術。
注2:価格差に着目した支援(価格差支援):低炭素水素などと、既存燃料との価格差の一部を国が支援する制度。
注3:ISCC PLUS認証:International Sustainability and Carbon Certificationの略。バイオマスや再生可能原料、資源循環原料などが、サプライチェーン上で持続可能な方法で管理されていることを証明する国際的な認証制度。