水素トラクタのコンセプトモデルを大阪万博で公開
株式会社クボタ(以下、クボタ)は、自動運転機能を搭載した水素トラクタのコンセプトモデルを開発した。2025年9月22日から大阪・関西万博会場で開催中のイベント「水素パーク!!」で展示している。同機の公開は世界初だという。2025年9月18日に発表した。
図1 クボタが開発した「オートノマス水素燃料電池トラクタ」のコンセプトモデル
出所 株式会社クボタ ニュースリリース 2025年9月18日、「オートノマス(自動運転)水素燃料電池トラクタのコンセプトモデルを開発」
自動運転技術と水素燃料電池を融合し開発
クボタは、バッテリーEV化に加え、水素やバイオ燃料、合成燃料を利用するエンジンなど、多角的な視点での研究開発を進めている。特に、高出力と長時間の連続稼働が不可欠な大型農業機械においては、エネルギー密度に優れる水素燃料が有力な選択肢の1つと考えている。同社が蓄積してきた農業機械の車体開発技術に、トラクタに最適化した水素燃料電池システムと、自動運転・遠隔操縦技術を統合し、コンセプトモデルの「オートノマス水素燃料電池トラクタコンセプトモデル」を開発した。
同モデルは、動力源に固体高分子型燃料電池注1を採用する。燃料となる圧縮水素を用いて発電し、走行時に排出するのは水のみ。出力は100馬力のディーゼルエンジン搭載トラクタと同等である。乗員がいない完全な無人運用を前提としている。
今後、コンセプトモデルを活用し、国内のほ場で実証試験を行う計画だ。試験では、より高度な無人自動運転技術の検証や、農業現場における水素の供給方法の検討、実際の農作業への適合性の確認などを進める。
クボタによれば、世界の農業分野では、気候変動対策としての脱炭素化が急務となる一方、就農者の高齢化や人手不足が深刻な課題となっている。こうした背景から、環境負荷の低減と作業の効率化・省人化を両立する技術開発が求められている。
注1:固体高分子型燃料電池(PEFC):電解質に高分子膜を用いた燃料電池。比較的低温(100℃以下)で作動し、小型化が容易なため、自動車や家庭用コージェネレーションシステムなどで利用が進んでいる。
参考サイト
株式会社クボタ ニュースリリース 2025年9月18日、「オートノマス(自動運転)水素燃料電池トラクタのコンセプトモデルを開発」