GHG排出量の自動算定ツールを今秋発売
セイコーソリューションズ株式会社(以下、セイコーソリューションズ)は、Scope3にあたるサプライチェーン全体の温室効果ガス(GHG)排出量を自動で算定するツールを開発した。AI技術を活用した自動算定により、算定業務の負荷を削減するとともに、担当者ごとの判断のばらつきを防ぐという。同ツールをセイコーグループ内で先行導入し、2025年秋に一般発売する。同8月25日に発表した。
図1 セイコーソリューションズが開発した排出量算定新ツールのサービスイメージ
出所 セイコーソリューションズ株式会社 ニュースリリース 2025年8月25日、「AI活用で Scope3 の排出量算定を効率化する新ツールを開発」
AIがデータ仕分けと計算を自動化
今回、開発したツールは、調達した製品・サービスの物量・金額といったデータをツールにアップロードすると、自動算出機能が必要な情報を自動で抽出し、仕分け、排出量を計算する。
従来は手作業で行われていた煩雑な分類や集計業務を削減する。また、AI技術が一定のロジックに基づいて処理するため、担当者ごとの判断のばらつきが解消され、算定基準の統一化と精度の向上が期待できるという。
今後、セイコーソリューションズは、同ツールについて、算定業務のさらなる自動化と利便性向上を図るため、他の脱炭素関連サービスや各種排出原単位データベースとのデータ連携を進めていく。
セイコーソリューションズによれば、国内ではプライム市場上場企業に対し、GHG排出量の情報開示が実質的に義務化されている。自社の直接・間接排出を対象とするScope1・Scope2に対し、Scope3は原材料の調達から製品の使用・廃棄、従業員の通勤・出張まで、サプライチェーン全体にわたる排出量が対象となる。
その算定範囲の広さから、企業は社内外に散在する膨大なデータの収集・分類・集計作業に直面している。特に、購買・会計データの整理や、活動量データに対する排出係数注1の適用判断は属人化しやすい。業務負荷の増大による算定結果の精度や一貫性の確保が課題になっていた。
注1:排出係数:排出原単位とも呼ばれる。各種活動量(電気の使用量、燃料の燃焼量など)あたりの温室効果ガス排出量を示す係数。活動量にこの係数を乗じることで排出量を算定する。
参考サイト
セイコーソリューションズ株式会社 ニュースリリース 2025年8月25日、「AI活用で Scope3 の排出量算定を効率化する新ツールを開発」