バッテリー人材の育成を支援する組織「BATON」設立
日本の蓄電池産業における人材育成を強化するため、産官学が連携し新組織「バッテリー先進人材普及ネットワーク(BATON[バトン]:Battery Advanced Talent Outreach Network)」を2025年10月14日に設立した(写真1)。政府が目標とする約3万人の蓄電池人材を育成・確保するため、関西で先行して実施してきた教育プログラムを全国に展開する。事務局は、一般社団法人電池サプライチェーン協議会(以下、BASC)と一般社団法人電池工業会(以下、BAJ)が務める。経済産業省が2025年10月16日に発表した。
写真1 バッテリー先進人材普及ネットワーク(BATON)の発足発表会の様子
出所 経済産業省 プレスリリース 2025年10月16日、「蓄電池の人材育成を加速するため、産官学連携による全国ネットワーク(BATON)を設立しました」
2026年度以降に全国の大学・高専などで教育プログラムを提供
経済産業省は、2022年8月31日に発表した「蓄電池産業戦略」で、蓄電池の国内製造基盤を強化するため、2030年までに年間150GWhの製造能力を国内で確保する目標を掲げている。同目標の達成には、サプライチェーン全体で新たに約3万人の人材が必要になると見込む。
蓄電池人材を確保するため、2022年8月31日に、経済産業省 近畿経済産業局とBASC、BAJが事務局となり、「関西蓄電池人材育成等コンソーシアム」が設立された。同コンソーシアムは、関西地域の高校や高等専門学校(高専)を対象に、蓄電池に関する専門教育や企業との交流機会を提供してきた。これまでに約30校でプログラムが実施され、約1500名が受講するなどの実績がある。
今回、新たに設立したBATONでは、関西蓄電池人材育成等コンソーシアムの教育プログラムを全国に拡大して展開する。また提供先も、高校・高専から大学に拡大する。また、「教育普及プログラム普及委員会」「大学での教育普及委員会」を設置し、その中で参画する企業、教育機関や地方自治体、各種支援機関が議論する。産業界からは、株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション、トヨタバッテリー株式会社、パナソニック エナジー株式会社、プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社(PPES)の4社が10月14日時点で参画する(図2)。
図2 BATON参画組織(10月14日時点)
出所 一般社団法人電池サプライチェーン協議会 ニュースリリース 2025年10月14日、「バッテリー先進人材普及ネットワーク(BATON)の設立について」
今後は、組織体制の具体化や詳細な活動方針を策定し、2026年度以降、全国の大学や高専などで教育プログラムの本格的な普及を開始する計画だ。
参考サイト
経済産業省 プレスリリース 2025年10月16日、「蓄電池の人材育成を加速するため、産官学連携による全国ネットワーク(BATON)を設立しました」
一般社団法人電池サプライチェーン協議会 ニュースリリース 2025年10月14日、「バッテリー先進人材普及ネットワーク(BATON)の設立について」
一般社団法人電池工業会 お知らせ 2025年10月14日、「バッテリー先進人材普及ネットワーク(BATON)の設立について」